ヴィトンのはじまり上流階級限定の旅行用バッグ

ヴィトンのはじまり上流階級限定の旅行用バッグ

ヴィトンをここまで一人勝ちにさせた要因は何だろうか。それを知る前に、まずヴィトンの歴史を知る必要がありそうだ。(2017年08月17日 最終更新)

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圧倒的な実力を誇るヴィトンも、ほんの一O年前まではエルメスやシャネル、プラダ、グッチと同程度の売上だった。各社四OO億円ほどの売上で肩を並べて団子レースを繰り広げていたのだ。
ヴィトンの成長の軌跡には、由緒正しき歴史と伝統、そしてそれらを踏まえた上で遂行された革新が大きく寄与しているからだ。ヴィトンブランドが誕生したのは一八五四年。オートクチュールの高級ドレスを運ぶための箱を作ったトランク製造工のルイ・ヴィトンが、パリに世界初の旅行カパン専門庖「ルイ・ヴィトン」を聞いた。これがヴィトンのはじまりだ。以来、ヴィトンは一貫して「旅」をコンセプトとしたそノ作りを行ってきた。しかし、当時の客は大プルジョワと貴族に限定されていた。それ以来、本国では、大衆とは縁がないブランドであり続けている。
ヴィトンと聞いて誰しもが思い浮かべるあのモノグラムが生み出されたのは一八九六年。ヴィトンにとっては四番目の柄だ。二代目のジョルジュ・ヴィトンは、模造品が急増していたことからその対策として、真似されにくいようにと、LVのロゴに花や星を組み合わせた独特の柄を作り出した。今にして思えば、デザインと商標を一緒にした画期的なデザインであった。

映画が知らしめたヴィトンの良さ

モノグラムのバッグは、一九五七年のアメリカ映画『初日間世界一周』にも登場する。旅行がコンセプトのヴィトンにふさわしい映画といえるだろう。しかし、この映画に出てくるそノグラムのバッグは、今街で見かけるそれと素材が違う。
当時は本革、現在主流のモノグラムラインは、キャンパス地に防水性のある塩化ビニールがコーティングされた生地だ。中には、街なかでよく見かけるヴィトンのロゴの入った茶色のそノグラムラインのバッグを革製だと思っている人もいるようだが、あれはこのビニールのバッグである。

軽くて丈夫な新モノグラムラインは、飛行機を使った旅行の時代の幕開けをにらんで、五九年に開発された。豪華客船での長旅ならば革の重いバッグでも問題はないが、飛行機を使うとなると、使い勝手の良い軽いバッグが求められる。時代の変化を見越したヴィトンの先見の明があった証である。
素材は変わったが、ラグジュアリーかつ高機能なバッグという評価は変わっていない。それは、オードリー・ヘップバーン主演の映画『シャレード』一九六三年)でも明らかだ。
オードリー・ヘップバーン演じるレジーナは上流階級に所属する女性だった。だからこそ、映画の小道具にふさわしいものであったのだ。
そして、ヴィトンの機能性の高さを改めて感じさせてくれたのが、九九年のアメリカ映画『スリーキングス』だ。湾岸戦争終結後、イラク軍が隠し持っている金塊を盗み出そうとする四人の米兵の官険を描いた映画の中で、主役の米兵たちは、「重い金の延べ棒を運ぶには、ヴィトンのパッグがいい」と、大型のモノグラムのパッグにせっせと延べ棒を詰め込んだ。財宝といっしょに保管されていたヴィトンのバッグに延べ棒を入れて運ぶ演出。宣伝臭くはあるが、ヴィトンの機能性とラグジュアリーさをうまく表現する使われ方だった。