カルティエ Cartier:1847-(FRANCE)

カルティエ Cartier:1847-(FRANCE)

フランスの高級宝飾品を基盤とし、高級時計からハンドバッグ、ライターなどのアクセサリーまでを扱う世界的ブランド。世界で初めて堅牢で展延性のあるプラチナを用いるなど、革新的な作品を次々と生み出している。(2017年08月17日 最終更新)

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ウィンザー公爵夫人が所有していたカルティエの宝飾品は、夫人の死後にかけられたオークションでは桁を見間違うほどの高価格で落札されたことでも話題を呼んだ。そのような高級宝飾品だけでなく、ホワイト、イエロー、ピンクの三色が織りなすスリーゴールドの三連リングや恋人の手を借りてドライバーでビスを外して着用する「ラブプレスレット」など、シンプルでいてユニークなものでも有名。日本ではとりわけ、時計のブランドとしても知られている。1904年にブラジル人飛行家アルベルト・サントス=デュモンのために製作した腕時計「サントス」などの腕時計を取り揃えている。
老舗の宝飾店であったカルティエは世界進出に成功する。
それは1973年、従来の手作りの高級時計だけでなく、比較的お手頃な時計を「レ・マスト・ドゥ・カルティエ」のブランド名で導入したことによる。優れたものを求める人が必要とするものを提供する意味を込めて「レ・マスト」、つまり英語のmustと名付けられた。このブランド名の考案者は1972年にカルティエの社長の座に着いたロベール=オックであり、「レ・マスト・ドゥ・カルティエ」の全権は弱冠30代のアラン=ドミニク・ペランに委ねられた。1969年にカルティエ社に入社後、昇進を重ねていたペランは、自分と同様にこれから昇進する若い世代が入手可能な価格の、しかし高品質な時計を提供することによって、後に彼らを高級時計に限らず高級ジュエリーの顧客として取り込むという戦略を立てた。「レ・マスト」の時計はパリの宝飾品業界から反発を買うが、やがて莫大な利益を上げ、ブランドの世界制覇を成し遂げる要因となった。ペランはこの「レ・マスト」の業績によって81年からカルティエ・インターナショナルの社長に就任した。
ブランドが有名になればなるほど、コピー商品が氾濫する。
そこでカルティエは、高品質なブランドのイメージを守るため、巨額を投じて商標の保護とコピー商品の排斥努力をおこなっている。たとえば、第一次世界大戦でフランスを危機から救った連合軍の戦車(タンク)からヒントを得て1917年に誕生した、腕時計「タンク」コレクションは、カルティエの名が世界的に有名になると、他の時計ブランドによる類似品や偽物が横行することになった。カルティエはブランドとしての知的所有権を初めて法廷に持ち込み、1981年、パリ法廷で勝訴している。さらに、81年から84年にかけて、ロサンジエルスの路上をはじめとして、ロンドン、香港、東京においてロードローラーによる大量の偽物タンク・ウォッチの破壊いうパフォーマンスをおこない、コピー商品に対して敢然と立ち向かうカルテイエの姿勢を見せつけた。ブランドはそれが保証する品質の高さを示すものであり、それを信じて購入する消費者の信頼を裏切らないためである。
高級宝飾店としてのカルティエは、ルイ・フランソワ・カルティエ(Louis Francois Cartier:1819-1904)が1847年に創設した。折しもナポレオン三世の第二帝政期( 1852-70)、産業がめざましく発展し、社交界に華やかさが蘇り、贅を尽くした宝飾品が夜ごとの夜会で光を放つ時代であった。カルティエのジュエリーは貴族趣味溢れる作風で、まずは富裕なブルジョア階級に評判となり、皇帝の従妹マチルド侯爵夫人、ナポレオン三世とその妃ウージェニーらを魅了した。
「宝石商の王であるが故に、王の宝石商」と称えられ、各国の王侯貴族がカルティエのサロンを訪れ、19世紀末頃には世界中の王室御用達となる。
やがて時代の変遷とともに、カルティエは洗練されたシンプルなスタイルとなっていく。1900年代初頭から登場する豹(パンテール)や象、フラミンゴなどのアニマルモチーフは、カルティエのモチーフの中でも重要な位置を占めてきた。動物たちの今にも動き出しそうな生き生きとした姿が、生命の喜びに溢れ、力強さ、そして愛らしさに満ちている。これらは、1949年にウインザー公爵が夫人に贈ったかの有名な、ダイヤモンドとサファイアをあしらったパンテールが152カラットの巨大なサファイアの上にのったブローチ、といった高級品から、小さなピンブローチやカフスピン、バッグの留め金まで、現在もカルティエの象徴として受け継がれている。アニマルモチーフ以外にも、定番のデザインとなったものは数多い。1923年にジヤン・コクトーのために考案したスリーゴールドの三連リングは、翌年カルティエのコレクションとして発表されて以来、愛と友情と忠誠のシンボルとして不滅のデザインとなっている。また、カルティエの頭文字Cを二つ組み合わせたロゴマークをモチーフとしたものや、「ラブプレスレット」など、カルティエのジュエリーには、素材と技術の絶え間ない革新によって、伝統をふまえたデザインが現代に生まれ変わりながらも受け継がれ、いつも時代の先端を行く感性と共鳴したモダニティを感じさせる。いわば時代を超えた魅力に溢れている。